【有機農法】有機物窒素の残存をうまく活用した端境期を克服するテクニック

たいじゅの畑食農研究室です。

本記事を執筆している2024年2月1日現在、しとしとと雨が降っております。先日の寒波以来、長雨ですね。なぜか南高北低の気圧配置(前線通過)という夏のような天気図になったりと、作物を作る身としては調子が整いませんね。

おおむね1~2月にかけては土壌状態が悪く耕耘に適さない事が多いです。

仮に耕せたとしても、施肥したものが分解されるかはまた別問題。肥料をあげただけでは作物の栄養にならないのは有機農法の基礎ですね。

筆者がよくテーマに挙げる「端境期克服のテクニック」ですが、これは露地野菜の年間販売計画のための考え方ですね。その課題に直面すると、どうしても真冬にも耕しておきたい….となると思いますが「1月、2月に耕したのはいいけど本当に育つんか….?」という疑問が出てきます。

結論から言うと普通に育つんですが、1月着手で早春採りを計画されているということは、トンネルを活用した促成栽培で栽培期間の短い軟弱系を育てようとされている場合が多いと思います。

こうなりますと考えられる問題としては発酵ガスによる生理障害ですね。生育適温は20~25℃ですから、密閉して昇温を図ると思います。すると未熟肥料の発酵によって根や葉がやられてしまうんですね(まあ、実際はそこまでシビアではありませんが)

未熟な堆肥をがんがんと投入するなど、多少荒っぽい施肥でも耐えられた初夏とは違い、冬は育ちにくい環境で育てているので一つ狂うと巻き返しを図るパラメータが少ないのが特徴です。

施肥なしで育てることはできない?

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これは「その前の作付や長期の施肥履歴による」というのが正確なんですが、結論からいうと概ね育ちます。ただし、有機栽培を継続的に実施されていた場合ですが。

有機肥料ってどのくらい残っているか、気になったことありませんか。

実は結構残っているんですよ。

とはいえそれだけだとざっくりし過ぎですね。ではどれだけ残っているのか、見てゆきましょう。

有機資材ごと有機体窒素分解率

有機肥料の分解は窒素の分解の進み具合で判断します。下記グラフをみて頂いてもわかるように、土質や肥料の種類にもよりますが、すぐ分解せずにいくらかは翌年に持ち越してゆきます。

【引用】1)https://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/shikenkenkyuu/documents/25_2.pdf 2)『施肥基準』三重県農業研究所

バーク堆肥や牛ふん堆肥は、C/N比が高いので分解速度が遅いのはわかるんですが、米ぬかや油粕というよく使う肥料でも、半年かかっても1/3は残っている場合もありますね。

1)のデータは春埋設、つまり春先に施肥したらどうなるかというデータです。どの資材がどのくらい早いか、遅いかというのは、施肥の状況によって大きく変わるので再現性のあるデータは得られにくいのですが、要点は「有機肥料は残存する」ということです。これが蓄積となって長く肥効する土壌ができあがります。

春夏作で夏野菜を育て、その間何度か追肥もするわけですから、そういった事を継続している土地にはそれなりの有機残渣が残っていると考えて良いでしょう。秋作をやった後に何か植えるのであれば、もっと肥効が期待出来ます。

化成肥料だと速効性かつ低保肥性、有機肥料だと遅効性かつ保肥性という性質を生かして栽培計画を練り直してみましょう。

物理性や生物性は確保しよう

肥料が多少ほどこされていなくても育つのですが、植物の生育メカニズム上、土壌の物理性や生物性を確保してやる必要があります。発芽して根が窒息しなくても、根を伸ばしてゆけなければ植物は育ちません。

先ほどもお話したように1月、2月の厳冬期は土が乾きにくく湿っていますので、タイミングを見て耕すか、前もって年の瀬に耕耘だけ実施するというのもよいかもしれません。

耕すことで空気が流入し、かつ生物の活動に必要な隙間が構築されるので、生物性の改善にも繋がりますね。

経験上、京都、大阪では1,2度は毎年チャンスが巡ってくるように思います。

野菜の種類によっては施肥しないほうがよいことも。

施肥すればするほど育つと勘違いしがちですが、実際は適正範囲というものがあります。野菜の吸収特性が品種、生育段階によって異なるので一概にはいえませんが、よくあるのがツルぼけという現象です。

窒素肥料をあげすぎて、葉だけだが生い茂って実(根)が実らない太らない、といったことを耳にしたことはありませんか。家庭菜園ではよくあるトラブルの一つですね。

厳冬期栽培の候補である人参は、まさに過肥料が苦手な野菜の一つです。葉っぱばっかり生い茂って根が太らないという現象があります

人参に関しては、前の作付がよほど肥料不足でないかぎりは、施肥しないほうがよいとする農家さんもいます。厳密には3大元素以外のいくつかの元素のはたらきを加味して適正な施肥量が決められていますが、家庭菜園レベル、小さな農業であれば厳冬期は施肥を控えるくらいが丁度良いかもしれません。

まとめ

ここで取り上げた厳冬期栽培は、厳冬期に作付して早春~春の収穫を目指すものです。じゃがいもなど一部指針が異なる品目もありますが、栽培期間の短い野菜を配置して促成栽培をするにあたって土作りはどうするのかという課題をみてきました。

筆者はこれまで小蕪、ほうれん草、人参、サニーレタスを厳冬期耕耘のみで育ててきましたが、問題なく育ちました。液肥やぼかし肥などで促成するのも手かと思いますが、もともと遅効性の肥料に富んだ土壌での栽培を行っている事を考えると、やや過肥料気味になる懸念があります。

春には一般的な施肥をすることを考えると、短い期間を有機残渣で乗り切るのいうのは理にかなっているように思います。色々な方法や考え方がありますので、一つの目安としてご参考いただければ幸いです。

最後までお読み頂き、誠に有難うございました。

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