【食農のすゝめ】厳冬期をうまく活用した端境期の野菜を増やす栽培テクニック① 3月収穫編 

たいじゅの畑食農研究室です。

2023年度は暖冬と言われていましたが、気圧の前線が通り過ぎた後に急に寒くなりますね。今週半ばにかけて放射冷却現象の影響で朝は氷点下3℃まで下がるということで、農家にとってはやはり冬場の野良仕事はこたえます。

さて、1~2月頃にかけては冬型の気圧配置が強まり厳冬期と呼ばれます。通常、この時期の露地物は休眠状態となりますので、畑に置かれた野菜が収穫ないし出荷物となります。年内に生育しきった野菜を長い冬にかけて細々と消費していくかたちが一般的ですね。在圃期間の長い野菜といえば次のようなものが挙げられます。

  • さといも
  • 生姜(霜よけ対策が必要)
  • 大根※
  • キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど耐寒性の大型葉物野菜
  • 人参、パースニップ、蕪(ターニップ)などの根菜
  • 葉葱※
  • 春菊、スイスチャードなどのかき菜
  • 耐寒性のほうれん草

※=氷点下になりやすい地域では、品質の低下が著しいため出荷にはあまり向きません。

このような野菜達を春先まで圃場で温存して、暖かくなったら撤収⇒3~4月:春夏作の土作りという流れが有機農法ではありがちなパターンです。しかしこの場合ですと、温暖な気候になるにつれて野菜が極端に減ってしまい、いわゆる端境期を迎えてしまいます。たとえば土中野菜の里芋は発芽したり腐ったりしますし、アブラナ科は薹立ちして花を咲かせ始めます。そのため、よくある話ですが3月の産直や野菜セットには菜花がど多用される結果となるのです(菜花も美味しいですが)

薹立ちが遅い晩抽性品種を使えば4月中旬頃までアブラナ科の収穫が期待出来ますが、有機栽培の土作りの記事で紹介しましたように有機資材の分解発酵にかかる日数を加味すると、夏野菜の土づくり→作付けとバッティングしてしまうのでやはり野菜不足に悩まされてしまいます。

結果、3~4月は「なんか野菜少ないな~」となってしまいます。

春先の気温上昇をうまく活用する

冒頭でも触れましたように春先の3~4月上旬にかけては気温の急激な上昇に伴い菜花が一斉に咲くシーズンです。ということは、逆にいえばこの時期をうまく活用すれば新鮮な野菜が手に入るというわけです。

栽培期間の短い軟弱野菜でも30~60日の栽培を要しますので、逆算すると平均して1ヶ月半ほど前の2月上旬頃には作付を完了していないといけません。もっといえば、これは適期の栽培期間ですので、もう少し余裕を持って1月中には播種を完了していたい所です。

となると厳冬期まっさかりの作業となるわけですが「こんな寒い時期に育つんかいな…」と半信半疑になります。筆者も起業して販売するまではそんな出来るか出来ないかもよくわからないことをする必要性をあまり感じなかったのですが、年間通じて野菜セットを提供するのならば、やってみるべきだと考えました。

ビニールトンネル資材を買ったりしてトンネル被覆したりビニールハウスで栽培すれば、いくらでも冬季野菜を作ることができます。ある程度の面積を持っているのならば、むしろ既製品をバンバン活用して効率よく作る事をオススメします。

今回はあくまで場つなぎ的に温室栽培を実施して、すぐに夏野菜用畝に転用するといったそこそこ機動的かな家庭菜園のテクニックをご紹介します。

ビニールトンネル用の資材はホームセンターや日本農業システムなどの通販サイトを利用してお買い求め頂けますが、1m2あたり50~100円といったところが相場のようです。

ホームセンターでは10m単位で売られていますが割高傾向で、100m分を購入してストックするのが良さそうですね。

しかし、トンネル被覆する作業、100m巻だとめちゃくちゃ重いんですよね….。再利用もしますので、100mもあると小さな農業だと何年も使いかけ在庫を持つ事になって置き場所に若干困ります。

原価率についてはざっと算出する限りでは、きちんと売上げがあれば大きなウエイトを占める資材ではありませんが、売上予測が若干過大気味だと思うので、およそ500~1000円/m2の売上げ額にトーンダウンすると、まあ抑えられるところは抑えたいという感じでしょうか。ご参考までに、下記に原価率の算出しています。

私は90Lの透明袋を解体して繋げています。これ、すごく素人っぽいんですが実は厚手のゴミ袋って0.05mmと厚手なので皮目は結構丈夫です。日本サニパック「環境クラブ」などの製品を選べば(モノタロウで買えます)1m2あたり25円強で出来てしまいますね。90L袋の寸法規格が900×1000mmですので、短辺を切り拓けば1800×1000mmとなりトンネル資材として使える寸法になります。貼り合わせる際は端部をしっかりと2重に固定してばらけないようにしてください。

10m分つくるのに、およそ30分もあれば出来るでしょう。

さてこのお手製ビニールトンネルでの成果ですが1月下旬播種で3月下旬にこかぶ、ラディッシュが綺麗に収穫できました。

圃場のシチュエーションにもよりますが、冬場はダイコンサルハムシ等害虫の動きが鈍るので、私の圃場では3月の温度上昇期にかけて虫食いが少ない良品質の野菜が得られました。こかぶは葉に栄養がたくさん詰っているので、無農薬で綺麗なこかぶを作るのが目標だったのですが、肝心の適期には全然うまくいかなかったのに、早春に試しに栽培したらいいのが出来てしまいました。。そういう発見によってうまくいく作付が徐々に開拓されてゆく側面はありますね。

(↑3月初旬に撮影したこかぶ「あやめ雪」の様子。虫食いがゼロで初めての年はウキウキしました)

厳冬期はビニールトンネル栽培を駆使しよう!

厳冬期の栽培は寒すぎて育たないような気がしてしまいますが(実際に1、2月に収穫出来るほどではありません)、早春の端境期を埋め合わせすることは充分できます。また、ちょうど大根や葱などを植えていた場所が空き畝になるので、そこを不耕起無施肥で実施してもいいかもしれませんね。有機栽培の良いところは遅効性の肥料で、かつ有機残渣が貯金として残っているので、無施肥でもよく育つんですよ。

1月は圃場の渇きが悪く、雨が降ったら思うように作業出来ないので、下手に土中をこねるよりも結果が伴うかもしれません。春夏の作付スケジュールを邪魔することもありませんので、ぜひ取り入れたいところですね。

3月の産直は野菜の種類が少ないので、ここで収穫をあげられると売上げUPにも繋がりますよ!

まとめ

本記事では多品目栽培のノウハウのひとつとして厳冬期のビニールトンネル栽培を取り上げました。

今回は実績のあるこかぶやラディッシュなどで具体例を示しましたが、2024年1月現在、ほうれん草の栽培を実施していまして、こちらのほうも順調に生育しています。野菜の種類や品種を変える事で、収穫時期や在圃期間を調整する余地は充分にありますので、ぜひ色々と検討してみてください。

最後までお読み頂き、誠に有難うございました。

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